海外社会保障情報
No.123 Summer '98【研究資料】
社会保障費 国際比較基礎データ
勝 又 幸 子
山 田 篤 裕
ここに掲載する各国の社会保障費統計は、平成8年度社会保障費(『季刊社会保障研究』第
34巻第3号)の◆参考 国際比較として示した内容の基礎となったデータである。日本の社会保障費統計が
ILO基準により推計したものであるため、費用の定義の統一と計数の比較妥当性を考慮して諸外国についてもILO基準で推計されたものを使っている。ILOは各国から収集したデータを従来3年に一度The Cost of Social Security Basic Tableとして刊行してきた。だが、1986年を最後に印刷媒体の更新を行っていない。近年開設されたILOのホームページ1)に1990〜1993年までのデータが公開されているが、ここに公開したデータは、国立社会保障・人口問題研究所が各国の協力を得て独自に入手したものであり、ILOのホームページの数値とはかならずしも一致しない。その原因はいくつか考えられるが、各国とも新しい推計結果とともに過去のデータの遡及をおこなうことがあること、また各国が提出した数値をILO事務局が独自の判断で改訂することがあることが指摘できる。後者については、日本の例が挙げられる。ILO公表統計では、日本のデータからPublic Healthが削除されている。Public Health(公衆衛生)は、公費負担医療などの社会保障制度なので, ILO基準の社会保障費に含まれるにもかかわらず、ILOがこれを削除してきたことに対しては再三訂正の要求を出してきた。現在ILO本部において、基準の見直し作業が進んでいるとの情報を得ているので、機会を捉えて日本データの改訂を要請したいと考えている。なお、ここに示した3費用区分(医療・年金・福祉その他)は
ILOの区分ではなく当研究所が独自に定義している。各国データからの計算方法については、『社会保障費統計の仕組みと概要』2)を参照していただきたい。参考文献
勝又幸子 「社会保障費の国際比較―
ILO公表統計を使った国際比較の留意点と課題―」『季刊社会保障研究』第28巻3号、1992年『社会保障費統計の仕組みと概要』国立社会保障・人口問題研究所 研究報告
No.9701、1997年「平成7年度社会保障費」『季刊社会保障研究』第
33巻第3号、1997年(かつまた・ゆきこ やまだ・あつひろ 国立社会保障・人口問題研究所)
1)
http://www.ilo.org/public/english/protection/socsec/publ/css/cssindex.htm2)
平成9年 国立社会保障・人口問題研究所 研究報告No.9701《掲載表リスト》
表1 諸外国の社会保障給付費の推移
表2 諸外国の医療給付費の推移
表3 諸外国の年金給付費の推移
表4 諸外国その他の給付の推移
表5 諸外国の社会保障給付費の部門別構成割合の推移
表
6 諸外国の社会保障給付費の部門別対国民所得比率の推移表7 諸外国の国民所得(要素所得表示)の推移(注:1992年度のアメリカの数値に誤植があり訂正いたしました。2000年6月22日)
表8 フランスの社会保障財源
表9 ドイツの社会保障財源
表
10 スウェーデンの社会保障財源表
11 イギリスの社会保障財源表
12 アメリカの社会保障財源表
13 諸外国の社会保障給付費対GDP比率の推移表
14 国民所得に対する租税負担率および社会保障負担率(=国民負担率)の国際比較ここから上記リストの表をエクセル形式でファイルをダウンロードすることができます。