1998年 社会保障・人口問題基本調査

第2回全国家庭動向調査

結果の概要 [要旨]

2000年3月

国立社会保障・人口問題研究所




T.調査の実施の概要

・調査実施時期
1998年7月1日

・調査対象
全国の全ての世帯の有配偶女子(妻がいない世帯は世帯主を対象)

・調査票配布数
13,630票(有効調査票 11,951票,有効回収率 87.7%)

・分析対象
有配偶女子票 8,186票(第1回調査との比較票 7,578票)

・調査目的
 この調査は、家庭機能の変化の動向や要因を正確に把握するため、家庭の出産、育児環境、老親扶養環境の現状、家族関係の実態を明らかにすることを目的としている。
 今回の集計は、妻が回答した調査票に限定して行った。



U.調査結果の概要


1.出産、子育て資源としての親との関係

・妻30歳代までの夫妻の母親は、どちらかがほぼ100%近く生存している。

・同居別居割合は、40歳代前半の妻までは、別居傾向が強まっており、34歳までの妻では8割程度が別居である。とくに、都市的地域でその傾向が強いが、農村的地域でも別居が増加している。

・別居の場合は、若年世代ほど親の近くに居住する傾向がある。

・妻の年齢別に親の介護の要否をみると、39歳以下の妻では、子育てと介護の両方を担う妻は比較的少ない。


2.親からみた成人子との関係

・娘と話をする頻度は、結婚後も週1〜2回以上の頻度で7割強が話をしている。

・未婚の成人子に対して、男子で3割、女子で4割が生活費などの経済的支援をしている。何らかの経済的支援は、結婚後もかなり高い割合で続いている。

・結婚している娘に対しては、出産や孫の世話で3分の2が援助をしている。

・同様に、結婚している娘に対して、悩み事の相談相手になっている母が4割弱おり、結婚後も母娘の緊密な関係がうかがえる。


3.夫婦の役割関係

(1)妻の家事時間と夫妻の家事分担度

・妻の家事時間は、平日、休日とも30歳代の妻がもっとも長い。

・フルタイムで働く主婦で、平日の家事時間が4時間以上もほぼ3割いる。

・夫の帰宅時間が8時前だと主婦の家事時間は30分近く短かくなる。

・妻がフルタイムで働いていても、夫の3割弱は全く家事をしない。

(2)夫妻の育児分担度

・子どもが1歳未満でも、育児は8割近くが妻に集中しており、夫のほぼ1割は全く育児をしない。

(3)夫の育児参加の実態と変化

・それぞれの育児の領域で、遂行率は多少伸びているが、「寝かしつける」ではほぼ5年前と同様である。

・「寝かしつける」では6割、「食事をさせる」「おむつを替える」などの育児では、夫のほぼ半数がほとんど行っていない。

(4)夫の家事、育児参加に対する妻の評定

・夫の家事、育児に対する妻の評価は、多少の遂行率の上昇にも関わらず、否定的態度が1割増加している。

・夫に対する家事、育児への期待度はわずかであるが増加し、妻の要求水準が上がったことにより、夫の遂行率はわずかに上昇したが妻の満足度は低下している。


4.夫婦間のコミュニケーション

(1)夫婦間のコミュニケーション

・夕食をいつも一緒にする夫婦は7割を越えるが、30歳40歳代の主婦の家庭では6割 前後しかない。

・よく心配や悩み事を夫に相談する妻は40歳代で、3人に1人程度である。

(2)夫婦の裁量権

・家庭内の裁量権は妻が持つ場合が多く、夫が寄与する割合は小さい。

・家計の分配や管理・運営は妻が主に行う割合が7割を占めている。また、育児や子ど もの教育についての決定を、主に夫が行う家庭はほとんどない(3.6%)。

・妻が自分の親と同居している場合裁量権が大きくなり、夫の親と同居している場合は 小さくなる。


5.出産、子育てと就業行動

・母親の働き方−現実と理想

・現実でもっとも多いのは、再就職型の5割で、専業主婦型2割、DINKS型は少ない。理想でも、ほぼ似通った割合になっており、理想と現実の一致度がもっとも高いのは、再就職型である。


6.家族に関する妻の意識

(1)夫婦に関する規範意識

・専業主婦の妻は、夫には「稼ぎ手役割と家庭役割」の両方を望み、自分自身は「家事や育児の専従者」からの回避といった態度がうかがえる。

・20歳代の妻では、子どもを持つこと=社会的認知に対して8割近くが否定的態度、60歳代とは35%の開きがみられる。

(2)子どもに関する規範意識

・乳児期における母親の育児専念は9割に及ぶ圧倒的な支持を得ている。

(3)老親に関する規範意識

・「年をとった親夫婦は息子夫婦と一緒に暮らすのがよい」に対して、否定的態度が1割増加している。






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(2003年3月24日掲載開始)







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担当:人口構造研究部

電話 03-5253-1111(厚生労働省代表) 内線4465

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