第12回出生動向基本調査


結婚と出産に関する全国調査
独身者調査について




○ 調査の概要

出生動向基本調査は5年ごとに実施されている全国標本調査で、夫婦調査と独身者調査からなる。ここでは第12回調査、独身者調査の概要について報告する。

調査期日:
2002年6月1日
調査対象:
全国の年齢18歳以上50歳未満の独身者
調査票配布数 − 12,866票 有効票数 − 9,686票(有効回収率75.3%)
調査事項:
  1. 独身者の人口学的・社会経済的属性
  2. 結婚に関する意識
  3. 異性交際に関する事項
  4. ライフコースに関する意識
  5. 子ども・家族に関する意識

テーマ :独身者の側からみた結婚、家族、子ども、男女関係に関する意識、実態を調べることによって、近年の少子化の主因となっている晩婚化・未婚化の原因を探る。

※ 概要報告では18歳以上35歳未満未婚者の調査結果を中心に報告する。報告中、とくにことわらないかぎり、未婚者とは18歳以上35歳未満未婚者を指す。

○ 調査結果のポイント

 生涯の結婚に対する意識の変化は一段落、ただし結婚を先延ばしする意識は継続
  1. 過去に減少傾向にあった「いずれ結婚するつもり」、「ある程度の年齢までには結婚するつもり」の未婚男女の割合は5年前とほぼ同程度で、彼らの生涯の結婚に対する意識の変化は一段落している。しかし、当面の結婚に対しては主要な年齢層で「まだ結婚するつもりはない」とする未婚者が継続して増えている(P.2〜4)。

  2. 結婚に利点を感じない未婚男性が増えている。社会的信用や生活上の利便など、結婚の実利面を挙げる人が減っているためで、逆に男女とも「子どもや家族をもてる」など内面的な利点を挙げる人は増えている。反面、今回独身生活に利点を感じる未婚男女がやや減った(P.6〜7)。

  3. 未婚者が独身にとどまっている理由は、25歳未満の若い層では「仕事(学業)にうちこみたいから」が増え、25歳以上の層では「適当な相手にめぐり会わないから」が継続的に減少するなど、概して「結婚できない」から「結婚しない」へ重心が移っている(P.12)。
 希望する結婚年齢も"晩婚化"、結婚相手には年齢の近い人を望む傾向が強まる
  1. 未婚者が希望する結婚年齢は高まっており、ここでも結婚を先送りする意識が続いていることがわかる(P.13)。

  2. 男女とも自分と近い年齢の結婚相手を希望する傾向が強まっている。これは夫婦で実際に見られる年齢差の縮小と符合しており、これが当事者たちの希望に沿った傾向であることがわかる(P.14)。
 異性との交際は二極化、同棲経験、女性の性経験は増加傾向を継続
  1. 異性の交際相手を持たない未婚者の割合は男性5割強、女性4割と、1987年調査(第9回調査)以降ほとんど変化がない。しかし、恋人以上の親密な交際相手(恋人および婚約者)を持つ未婚者の割合は、女性では25歳以上の年齢層で継続的に増加しており、相手がいないか親密な相手を持つかの二極化の傾向が見られる(P.9)。

  2. 同棲していると回答した未婚者は男女とも2%台といまだ少数派ではあるものの増加傾向を示しており、とりわけ20代後半の同棲経験者は今回調査では1割に達した(P.10)。

  3. 未婚男女の性経験率は男性では頭打ち傾向にあるのに対して、女性では全年齢とも継続して増加しており、過去に見られた男女の差は消失しつつある(P.10)。
 結婚相手の条件に「仕事への理解」「家事・育児への姿勢」の重視度が高まる
  1. 結婚相手を決める条件として、女性では相手の「仕事に対する理解と協力」「家事・育児に対する能力や姿勢」を重視する度合いが高まっている。また多くの子どもを持ちたい女性ほどそれらを重視する傾向が強い(P.15)。
 専業主婦願望は後退、実際になりそうなライフコースでも「両立」が逆転
  1. 専業主婦を理想のライフコースと考える未婚女性が急速に減っており、前回調査(1997年)以降は、仕事と家庭を両立するコースが逆転してこれを上回っている。ただし、最も多いのは出産・子育て後の再就職コースである。また、実際になりそうなコース(予定のライフコース)でも「専業主婦」は減っており、今回、両立コースが逆転して上回った。なお、男性が女性に望むコースでも今回「専業主婦」と「両立」が逆転して後者が上回った(P.16)。
 将来の暮らし方、30代には核家族、50代には夫婦水入らずが理想
  1. 未婚者が30代、50代に一緒に暮らしたい相手は、それぞれ「配偶者と子ども」、「配偶者のみ」が最も多く、「三世代同居」を望む割合はどちらも1割に満たない。30代では「恋人」と暮らすことを望む人が1割程度(男性10%、女性8%)いる(P.17)。
 未婚者の希望子ども数は引き続き減少、しかし結婚意思のない女性の1/3は子どもを望む
  1. 未婚者が持ちたいと望む子ども数は近年一貫して減少しており、今回夫婦の予定子ども数を大きく下回った。しかし、結婚意思のない男女でも女性の35%、男性の29%は子どもを持つことを望んでいる(P.18)。

  2. 希望する子どもの男女構成では、女児を望む傾向が男女ともに強まっている。とくに女性で女児を望む傾向が強い(P.19)。
※ 夫婦が理想とする子ども数ならびに実際に持とうとしている予定子ども数はともに近年わずかずつ減少をみせている(夫婦資料P.8)。また、女児を望む傾向は夫婦でも見られる(同P.11)。
 フリーターが増加し、親と同居する未婚男女が増加
  1. 20代以降の男性、30代以降の女性で親と同居する未婚者が大幅に増えている。フリーター(パート、アルバイト、無職)が増加していることと、このグループでの親との同居率の上昇が寄与していると見られる(P.20)。
 結婚・家族意識−家庭内の役割を越えた女性の生き方に支持、しかしシングルライフへの評価はゆらぐ
  1. 家庭内の役割にとどまらない女性の生き方(性別役割分業への反対、自己目標の保持、育児専念規範への反対)に対し引き続き支持が増大している反面、今回の結果では、独身として生きること(生涯独身、離婚、同棲)に対する評価にゆらぎが見られる(P.21〜22)。





本報告の資料『第12回出生動向基本調査 独身者調査の結果概要』(ポイント)をPDF形式で提供しています。
このファイルを閲覧・入手したい方は、右のアイコンをクリックしてください。 (183kb)

本報告の資料『第12回出生動向基本調査 独身者調査の結果概要』(全文)をPDF形式で提供しています。
このファイルを閲覧・入手したい方は、右のアイコンをクリックしてください。 (407kb)

なお、本調査の内容を刊行物・報告書等にご利用になった場合は、参考のため、
その掲載紙などを一部本研究所出生動向基本調査担当宛てお送りいただければ幸いです。

PDF(Portable Document Format)形式のファイルを見るためには、
AcrobatReader(アクロバットリーダー)というソフト(無料)が必要です。
アクロバットリーダーを入手したい方は,右のアイコンをクリックして下さい。アクロバットリーダーを入手します
(アクロバットリーダーのダウンロードサイトへジャンプします)






 参考ページへのリンク 『第11回出生動向基本調査 独身者調査』



社人研データ・アーカイブスから本調査の報告書で公表している巻末表データが、エクセルファイルでダウンロードできます。
(2005年2月25日掲載開始)


本報告の内容に関するお問い合わせは下記まで

国立社会保障・人口問題研究所
電話 03-3595-2984(代表)

担当:人口動向研究部 (内線4476・4473)



トップページへ