平成20年10月1日
機関評価に係る対処方針
国立社会保障・人口問題研究所
所長 京極 宣
平成20年9月24日付けにより、国立社会保障・人口問題研究所評価委員会委員長から提出された「評価報告書」(別添)において、当研究所の運営に関して改善が求められた諸事項に関しては、平成20年度以降において、下記の方針により対処するものとする。
記
<改善を求められた事項>
- 我が国においては、現在、少子高齢化、家族形態や労働環境の変化など、社会経済構造の大きな変化が進んでおり、こうした中で、人口・世帯等や社会保障の動向把握や将来推計についても、今後、より困難となることが予想されるが、新たな手法の導入や国際的動向を踏まえた改善などを進め、各種政策・研究への信頼されるデータ解析などの研究成果の提供・普及という、各方面の期待に応えていくことが必要である。
また、多くの政策課題を抱える厚生労働行政の推進に資するため、政策当局との連携の下で政策の企画立案等に資する研究の一層の充実に積極的に取り組むことが期待される。
<対処方針>
- 人口・世帯等については新たな推計手法の開発や調査分析手法の導入に取り組み、また、社会保障給付費については、制度改正に対応した集計方法等の改善やより包括的な費用把握を目指すとともに、国際的な動向にも注視し、諸外国の統計との整合性の向上など必要な改善に努めていく。
また、政策の企画立案等に資する研究については、今後とも、積極的に取り組むとともに、その成果の普及に努め、事実に裏付けられた政策提言を打ち出すことができるよう取り組む。
<改善を求められた事項>
- 研究開発分野・課題の選定において、次の点に留意することが必要である。
- 人口問題分野の研究者と社会保障分野の研究者との相互協力による研究を更に進めていくべきである。
- 社会保障において実証的研究が積極的に進められていることは評価できるが、理論的研究も重要であり、両者のバランスをとって進めることが必要である。
<対処方針>
- 人口問題分野と社会保障分野の研究者との協力による研究については、これまでも取り組んできたが、今後、更に、両分野の研究者の参加による研究交流会等の開催や研究プロジェクトの運営等に積極的に取り組んでいく。
社会保障の研究においては、理論的研究にも力を注ぎ、両者のバランスをとって研究を進めていく。
<改善を求められた事項>
- 現下の政府における厳しい定員管理の下でも、研究所が主任研究員の増員や、定員外の客員研究員、分担研究者・研究協力者の活用により研究体制の確保に努めていることは評価できるが、今後も、引き続きこうした努力を行うことにより研究の質を高めることが重要である。
<対処方針>
- 厳しい定員管理の中ではあるが、今後とも、必要な研究体制が確保できるよう、増員要求や客員研究員等の活用などの努力を進めていく。
<改善を求められた事項>
- 研究所においては、各研究プロジェクトにおける研究活動や機関誌の編集等が外部研究者の参加も得て実施されており、また、公開の場において内外の第一線研究者が討論する厚生政策セミナーの開催、外国人研究者の招聘による特別講演会の開催などの取組が進められているところであるが、他の研究機関とのコラボレーションや、セミナー等の公開での研究発表の場を増やしていくなど、更にこうした共同研究・交流の機会を増やしていくよう取り組んでいくことが望まれる。
<対処方針>
- 厳しい予算状況の下で、厚生政策セミナーなどの大規模な交流の機会を増やすことはなかなか困難であるが、各研究プロジェクトにおいて幅広い研究者との連携を一層深めていくことや、研究成果の発表の場として、公開のワークショップやシンポジウムを活用していくことなどにより、更に共同研究・交流の機会を増やしていくよう努めていく。
<改善を求められた事項>
- 情報発信について、今後、次のような点に留意すべきである。
- 地域レベルでの政策立案や調整の重要性を踏まえ、地域レベルの情報のデータベース化や地域関連の分析手法の紹介等を行うこと。また、人口分野の統計資料について、研究成果を反映した内容の見直しを絶えず行うこと。
- 研究叢書や研究資料等の出版を含め、研究所における各研究者の研究成果を情報発信する場を積極的に作り出すこと。
- ホームページにおいて、研究者個人の名を載せたレポートを掲載するなど、個人研究者の顔が見えるような工夫をすること。
<対処方針>
- 地域レベルの政策立案等に資するため、地域レベルの情報のデータベース化や地域関連の分析手法の紹介等については可能なものから取り組む。また、人口分野の統計資料については、最新の研究成果を踏まえ、今後とも、適宜、その内容の見直しを図っていく。
研究所における研究成果の情報発信の場の確保については、予算面の制約があり、出版物のさらなる拡充には難しい点もあるが、研究叢書の着実な刊行やホームページの活用など、様々な方策を検討していくこととする。
なお、個人研究者の顔が見える工夫については、研究所年報において個人の各年度における研究活動を紹介しており、また、ホームページにおいて、各研究者が研究成果を踏まえ作成したディスカッションペーパーを掲載するなどを行っているところであり、今後とも、こうした取組を進めていく。
<改善を求められた事項>
- 研究員の在外研究の機会の確保という観点も含め、研究者間の業務量の適切な配分や業務量全体の適正化への取組を更に進めていくことが望まれる。
<対処方針>
- 研究者間の業務量の適切な配分や業務量全体の適正化については、研究員の在外研究の機会の確保という観点も踏まえ、今後とも、研究プロジェクトの企画立案やプロジェクトの研究組織の編成に当たって配慮していく。また、非常勤職員の積極的活用等によって、研究者の業務負担の増大に対処するよう、引き続き努力する。
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