T.日本の全国将来推計人口の概要


1.総人口の推移

 人口推計のスタート時点である平成12(2000)年の日本の総人口は同年の国勢調査によれば1億2,693万人であった。中位推計の結果に基づけば、この総人口は今後も緩やかに増加し、平成18(2006)年に1億2,774万人でピークに達した後、以後長期の人口減少過程に入る。平成25(2013)年にはほぼ現在の人口規模に戻り、平成62(2050)年にはおよそ1億60万人になるものと予測される(表1図1)。
高位推計によれば、総人口は、中位推計よりやや遅れて、平成21(2009)年に1億2,815万人でピークに達する。そして、それ以降は減少に転じ平成62(2050)年には1億825万人に達するものと見込まれる(表2図1)。
 一方、低位推計では平成16(2004)年に1億2,748万人でピークに達し、以後減少して平成62(2050)年には9,203万人に達する(表3図1)。
 このように日本の人口はまもなく人口減少時代に突入し、右肩上がりの人口増加の趨勢は終焉する。日本の出生率が1970年代半ばから人口を一定の規模で保持する水準(人口置換水準、合計特殊出生率で2.08前後の水準)を大きく割り込んでいるため、このような過去四半世紀続いた低出生率水準と今後の見通しは今世紀初頭から始まる人口減少をほぼ避けることの出来ない現象としている。


2.年齢3区分別人口の推移

(1)年少(0〜14歳)人口の推移

 出生数は昭和48年(1973)年の209万人から平成12(2000)年の119万人まで減少してきた。その結果、年少(0〜14歳)人口も1980年代初めの2,700万人規模から平成12(2000)年国勢調査の1,851万人まで減少してきた。
 中位推計の結果によると年少人口は、2003年に1,700万人台に減少する(表1図3)。その後も低い出生率のもとで減少が続き、平成28(2016)年には1,600万人を割り込み、緩やかな長期減少過程に入る。そして推計の最終年次の2050年には1,084万人の規模となるものと予測される。
 高位ならびに低位推計によって、今後の出生率仮定の違いによる年少人口の傾向をみると、高位推計においても、長期的な低出生率のもとで減少傾向に向かい、平成62(2050)年にはおよそ1,400万人に達する(表2)。低位推計では、超低出生率のもとで、急速な年少人口減少が予測される。現在の年少人口およそ1,800万人規模から、平成26(2014)年には1,500万人を割り込み、今世紀半ばにはおよそ750万人に達すると予測される(表3)。

(2)生産年齢(15〜64歳)人口の推移

 生産年齢人口(15〜64歳)は戦後一貫して増加を続け、平成7(1995)年の国勢調査では8,717万人に達したが、その後減少局面に入り、平成12(2000)年国勢調査によると8,638万人を記録した。
 中位推計の結果によれば、生産年齢人口は平成7(1995)年をピークに以後一転して減少過程に入り、平成42(2030)年には7,000万人を割り込み、平成62(2050)年には5,389万人に達する(表1図3)。
 高位ならびに低位推計によって、今後の出生率仮定の違いによる傾向をみると、高位推計では、出生率が高く推移するぶん生産年齢人口の減少の勢いはやや遅く、平成45(2033)年に7,000万人を割り込むと予測される。そしてその後も生産年齢人口の減少が続き、平成62(2050)年に5,838万人に達する(表2)。低位推計の生産年齢人口は平成40(2028)年に7,000万人を割り込むものと予測される。さらに平成61(2049)年に5,000万人を割り込み、平成62(2050)年には4,868万人へと縮小するものとみられる(表3)。

(3)老年(65歳以上)人口の推移

 中位推計結果によれば年少人口の減少に続いて、今後生産年齢人口の減少が始まる一方で、老年(65歳以上)人口はおよそ現在の2,200万人から平成25(2013)年に3,000万人を突破し、平成30(2018)年の3,417万人へと急速な増加を続ける(表1図3)。すなわち、団塊の世代(昭和22〜24年出生世代)が65歳以上の年齢層に入りきるまで急速な老年人口の増加を生じることになる。その後、戦後の出生規模の縮小世代が老年人口に参入するため、増加の勢いは弱まり、緩やかな増加期となるが、第二次ベビーブーム世代が老年人口となる平成55(2043)年に老年人口はピークに達し、その後緩やかな減少に転じ、平成62(2050)年に3,586万人となる。なお、高位と低位推計では、将来の生残率や国際移動の仮定が同じであるため、中位推計と同じ結果である(表2表3)。


3.年齢3区分別人口割合の推移

(1)年少(0〜14歳)人口割合の推移

 今回の中位推計によると、年少人口割合は、平成12(2000)年の14.6%から減少を続け、平成17(2005)年には14%台を割り込み、平成33(2021)年に12.0%に達する(表1図4)。その後も年少人口割合は減少を続け、平成48(2036)年に11.0%を経て、平成62(2050)年に10.8%になるものと見込まれる。
 高位推計では、年少人口割合の減少テンポがやや緩やかで、平成19(2007)に14%台を割り込み、平成62(2050)年に12.9%に達する。
 低位推計では、年少人口割合の減少は急速で、平成16(2004)に14%台を切り、平成36(2024)年に10%を割り込んだ後、平成62(2050)年に8.1%に達するものと見込まれる。

(2)生産年齢(15〜64歳)人口割合の推移

 中位推計結果による生産年齢人口は、平成12(2000)年の68.1%から減少を続け、平成32(2020)年には60.0%に縮小する(表1、図4)。そして、その後も緩やかな縮小を続け、平成47(2035)年に現在の水準より10ポイント低い58.0%に達する。その後も減少傾向が続き、平成55(2043)年の54.9%を経て、平成62(2050)年に53.6%になるものと見込まれる。
 高位推計でも、その年次推移は中位推計結果とほぼ似通っており、わずかに縮小傾向が弱まるに過ぎない。平成62(2050)年の生産年齢人口割合は、中位推計結果より0.3ポイント高い53.9%に過ぎない。
 低位推計では、生産年齢人口割合は、中位推計結果より、その縮小は緩やかで、60.0%に縮小するのが平成42(2030)年である。しかし、その後の縮小は急速で、平成62(2050)年52.9%に達する。このような一見矛盾した動きは、生産年齢人口割合が、相対的な指標であることから現れている。

(3)老年(65歳以上)人口割合の推移

 老年人口の割合は平成12(2000)年現在の17.4%から平成26(2014)年には25%台に達し、日本人口の4人に1人が65歳以上人口となる。その後、平成29(2017)年に27.0%になる(表1図3)。老年人口は、平成30(2018)年以降平成46(2034)年頃まで、おおよそ3,400万人台で推移するが、老年人口割合は低出生率の影響を受けて平成30(2018)年以降も上昇を続け、平成45(2033)年には30%台に達する。そして、その後も持続的に上昇が続き、平成62(2050)年には、35.7%の水準に達する。すなわち2.8人に1人が65歳以上人口となるものとみられる。
 将来の出生率仮定の違いによる高齢化の傾向の差異を、高位と低位推計の結果の比較によってみると、平成30(2018)年ころまでの趨勢に仮定値の違いによる差異は小さい。平成37(2025)年に低位推計では29.5%と高位推計の28.0%に比べ、1.5ポイントの違いが生じている(表2表3)。この差が、今後の出生率水準が高齢化におよぼす影響である。この高齢化水準の違いは年次が経過すればさらに拡大し、平成62(2050)年では、高位が33.1%、低位が39.0%と5.9ポイントもの差が生じる。このように低出生率社会が長期に続くとすれば、それだけ相対的に高齢化水準が高くなることを示している(図2)。


4.人口ピラミッドの変化

 日本の人口ピラミッドは全体として高齢化していくことになるが、過去における出生数の急増減、すなわち昭和22〜24年の出生数の急増(第1次ベビーブーム)と昭和25〜32年の出生数の急減(ベビーバスト)により、過去の出生数の変動が、年齢層の高い部分で凹凸を持つ人口ピラミッドとなる(図5)。
 平成12(2000)年の人口ピラミッドでは第1次ベビーブーム世代が50歳代の前半、第2次ベビーブーム世代が20歳代後半にあるが、平成37(2025)年に第1次ベビーブーム世代は70歳代の後半、第2次ベビーブーム世代は50歳代前半となる。平成37(2025)年頃までの人口高齢化は第1次ベビーブーム世代を中心とするものであることがわかる。一方、平成62(2050)年頃の高齢化水準の高まりは第2次ベビーブーム世代が高齢者となることによって起きるとともに、出生率低迷の影響を受け、世代毎に人口規模が縮小することを反映する姿となっている。 このようにわが国の人口ピラミッドは、戦前の富士山型から近年のような釣鐘型を経て、将来ツボ型へと姿を変えることになる。


5.従属人口指数の推移

 生産年齢人口に対する年少人口と老年人口の相対的な大きさを比較し、生産年齢人口の扶養負担の程度をあらわすための指標として従属人口指数がある。中位推計に基づく老年従属人口指数(老年人口を生産年齢人口で除した値)は、現在の26%(働き手3.9人で老人1人を扶養)から2030年代には50%台に(2人で1人を扶養)に上昇し、2050年には67%(1.5人で1人を扶養)となるものと予測される(表4)。一方、年少従属人口指数(年少人口を生産年齢人口で除した値)は、現在の21%(働き手4.7人で年少者1人を扶養)の水準から今後19〜21%の水準の範囲で推移するものと予測される。
 低出生率によって年少人口が減少するにもかかわらず、年少従属人口指数の水準が大きく低下しないのは親世代に当たる生産年齢人口そのものが減少していくからである。
 年少従属人口指数と老年従属人口指数を足した値を従属人口指数といい、生産年齢人口に対する全体の扶養の程度をみることができるが、全体の従属人口指数は老年従属人口指数の動きに沿って上昇する。従属人口指数は生産年齢人口の縮小傾向のもとで、現在の47%水準から平成34(2022)年には67%水準にまで上昇し、その後平成62(2050)年に87%に達するものと予測される。


6.人口動態率と人口動態数の推移

 中位推計結果によると、普通死亡率(人口千人当たりの死亡数)は平成13(2001)年の7.7‰(パーミル)から一貫して上昇を続け、平成32(2020)年には12.1‰、平成62(2050)年には16.2‰に達する(表5)。平均寿命が伸び続けると仮定しているにもかかわらず普通死亡率が上昇を続けるのは、日本の人口が今後急速に高齢化し死亡率の高い老年人口の割合が増えていくためである。
 普通出生率(人口千人当たりの出生数)は平成13(2001)年の9.4‰から低下を続け、平成25(2013)年には8.0‰に達する。その後も普通出生率は低下を続け、平成47(2035)年に7.0‰となり、平成62(2050)年に6.7‰となる。
 普通出生率と普通死亡率の差である自然増加率は、平成12(2001)年の1.7‰からしばらくプラスを保つが、平成18(2006)年からはマイナスとなり平成62(2050)年には−9.5‰となる。  今回の中位推計によると、年間の出生数は平成12(2001)年の119万人から減少を続け、平成20(2008)年には110万人を切り、平成26(2014)年には100万人の大台を割り込む。そして出生数の規模は減少を続け、平成62(2050)年の67万人に達するものと見込まれる(表5)。
 一方、死亡数は平成12(2001)年の98万人から一貫して増加を続け、平成33(2021)年の151万人を経て、平成50(2038)年にはピークの170万人に達する。その後、やや減少して平成62(2050)年には162万人となる。


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