T 推計の枠組み


  1. 推 計期間

    推 計期間は2000(平成12)年10 月1 日から2025(平成37)年10 月1 日までの25 年間である.

  2. 推 計方法と推計結果

    推 計方法の主要な部分は,『日本の将来推計人口:平成14 年1 月推計』の中位推計における男女別,5 歳階級別人口に,推計された配偶関係と世帯内地位の組合せ別分布を乗じて,男女別,5 歳階級別,配偶関係と世帯内地位の組合せ別人口を求めるものである.一般世帯人員の配偶関係と世帯内地位の組合せ別分布は,世帯推移率法によって求めた.これは推移確率行列により,将来の配偶関係と世帯内地位の組合せを推計する方法である.世帯内地位には「単独世帯」「夫婦のみの世帯」「夫婦と子から成る世帯」「ひとり親と子から成る世帯」「その他の一般世帯」のマーカが含まれる.マーカは推計モデルにおいて世帯の形成・解体の鍵とされる成員であり,大部分は国勢調査の世帯主と一致する.ただし国勢調査では,たとえば妻や子が「夫婦と子から成る世帯」の世帯主となる例が少数あるのに対し,「夫婦と子から成る世帯」のマーカは常に夫,「ひとり親と子から成る世帯」のマーカは常に親とするなどの規則を設けた.推計された男女別,5 歳階級別,配偶関係と世帯内地位(マーカ・非マーカ)別人口に2000 年の世帯主・非世帯主とマーカ・非マーカの対応関係を適用し,男女別,5 歳階級別,配偶関係別,家族類型別世帯主数を求めた.推計結果の詳細は,結果表1 に家族類型別一般世帯数と平均世帯人員を,結果表2 に世帯主の男女別,5 歳階級別,家族類型別世帯数を示した.

  3. 基 準人口

    推 計の出発点となる基準人口は,2000 年国勢調査をもとに,一般世帯人員の世帯内地位を家族類型別世帯主・非世帯主から家族類型別マーカ・非マーカに変換して得た.

  4. 推 計結果の種類

    今 回の推計は1 ケースについてのみ行った.ただし参考推計として,男女別,5 歳階級別,配偶関係と世帯内地位(世帯主・非世帯主)の組合せ別分布が2000 年以後一定とした場合の世帯数を計算した.
    推計の目的は,将来の家族類型別一般世帯数を求めることである.家族類型は,「単独世帯」,「夫婦のみの世帯」,「夫婦と子から成る世帯」,「ひとり親と子から成る世帯」,「その他の一般世帯」の5 類型である.

U 推計結果の概要
  1. 一般世帯人員と一般世帯総数(図1

    当 研究所の全国将来人口推計によると,中位推計の場合,日本の総人口は2006 年の1 億2,774万人をピークとして,以後減少に転じるとされる.施設人口割合は急激には変化しないため,一般世帯人員の動向は総人口とほとんど変わらない.結果表1 に見るように,一般世帯人員は2000 年の1 億2,495 万人から増加して2005 年に1 億2,555 万人でピークを迎える.その後は減少に転じ,2025 年の一般世帯人員は1 億1,764 万人と,2000 年に比べ731 万人減少する.これに対し一般世帯総数は,図1 に見るように,2000 年の4,678 万世帯から2015 年の5,048 万世帯まで増加を続ける.すなわち総人口より9 年,一般世帯人員より10 年遅れて減少に転じる.
    それでも2025 年の一般世帯総数は4,964 万世帯で,2000 年より286 万世帯多い.

  2. 平均世帯人員(図2

    人口減少局面に入っても世帯数が増加を続けることは,世帯規模の縮小が続くことを意味する.一般世帯の平均世帯人員は,2000 年の2.67 人から2025 年の2.37 人まで減少を続ける.ただし変化の速度は,図2 に見るように次第に緩やかになると予想される.

  3. 家族類型別一般世帯数および割合(表1図3

    表 1 および図3 に見るように,今後増加するのは「単独世帯」「夫婦のみの世帯」「ひとり親と子から成る世帯」であり,減少するのは「夫婦と子から成る世帯」「その他の一般世帯」である.より単純で小人数の世帯が増加することが,平均世帯人員の縮小に対応している.「 単独世帯」は2000 年の1,291 万世帯から増加を続け,一般世帯総数が減少に転じる2016 年以降も増加は止まらない.この結果,2025 年には現在より425 万世帯多い1,716 万世帯となり,割合も2000 年の27.6 %から7.0 ポイント増加して2025 年に34.6 %となる.現在では「夫婦と子から成る世帯」が最も多いが,2007 年以降は「単独世帯」が最も多い類型となると予想される.
    「 夫婦のみの世帯」も増加を続けるが,「単独世帯」ほど急速ではなく,また2016 年以降は一般世帯総数と同様,減少に転じる.すなわち2000 年の884 万世帯から2015 年の1,059 万世帯まで増加した後,2016 年以降減少に転じ2025 年には1,029 万世帯となる.それでも2025 年における世帯数は2000 年よりも146 万世帯以上多くなる.割合は2000 年の18.9 %から2025 年には1.8ポイント上昇して20.7 %となるが,2010 年頃からは21 %弱で推移している.
    「 夫婦と子から成る世帯」は,1985 年をピークに既に減少局面に入っているが,今後それが加速し,2000 年の1,492 万世帯から2025 年には1,200 万世帯まで減少する.この「夫婦と子から成る世帯」は,かつては一般世帯の40 %以上を占める圧倒的に優勢な類型だったが,2000 年時点で既に31.9 %と割合をかなり低下させており,2025 年にはさらに24.2 %まで低下すると予想される.
    「 ひとり親と子から成る世帯」は今後も増加を続け,「単独世帯」と同様,一般世帯総数が減少局面に転じる2015 年以降も増加は止まらない.この結果,2000 年の358 万世帯から122 万世帯増えて,2025 年には479 万世帯になると予想される.割合も2000 年の7.6 %から2025 年には9.7 %と,2.1 ポイント上昇する.
    「 その他の一般世帯」の大部分は,核家族世帯に直系尊属か直系卑属が加わったいわゆる直系家族世帯だが,この類型は「夫婦と子から成る世帯」同様,1980 年代後半には減少に転じている.減少は今後も続き,2000 年の654 万世帯から2025 年には540 万世帯となる.一般世帯全体に占める割合も,2000 年の14.0 %から2025 年には10.9 %まで低下する.

  4. 世 帯主が65 歳以上または75 歳以上の世帯の見通し(表2図4

    (1 )世帯主が65 歳以上または75 歳以上の一般世帯総数の見通し

    表 2 および図4 に示したように,世帯主年齢が65 歳以上の一般世帯の総数は,2000 年の1,114万世帯から2025 年には1,843 万世帯へと1.65 倍に増加することになり,この間の総世帯数の増加(1.06 倍),65 歳以上人口の増加(1.58 倍)をいずれも上回る.この傾向は,世帯主年齢が75 歳以上の世帯ではさらに強く,2000 年から2025 年の人口の増加が2.25 倍であるのに対し,同期間の世帯主75 歳以上の世帯数の増加は394 万世帯から1,039 万世帯の2.64 倍である.
    世 帯主が65 歳以上の世帯の相対的に大きな増加速度のため,世帯主が65 歳以上の世帯数が総世帯数に占める割合は,2000 年の23.8%から2025 年の37.1%へと大幅に上昇する.すなわち,世帯主が65 歳以上の世帯の割合は、4 世帯に1 世帯という現在の水準から,3 世帯に1 世帯を超える水準になる.また,世帯主が65 歳以上の世帯に占める世帯主が75 歳以上の世帯の割合も2000 年の35.4%から2025 年には56.4%へと増大し,世帯の高齢化が一層進むことになる.

    (2 )世帯主が65 歳以上または75 歳以上の家族類型別世帯数の見通し

    2000 年から2025 年の世帯主が65 歳以上世帯の変化を家族類型別にみると,もっとも増加するのは「単独世帯」の2.24 倍(303 万世帯→680 万世帯)で,次いで「ひとり親と子から成る世帯」の1.87 倍(75 万世帯→140 万世帯)である.「夫婦のみの世帯」は1.58 倍(385 万世帯→609 万世帯),「夫婦と子から成る世帯」も1.42 倍(146 万世帯→207 万世帯)の増加となると見通される.また,「その他の一般世帯」は1.01 倍(204 万世帯→206 万世帯)の増加で,5 つの家族類型の中ではもっとも増加率が小さい.世帯主が75 歳以上の世帯については,いずれの家族類型も世帯主が65 歳以上の世帯に比して増加率が大きいが,特に「単独世帯」は3.03 倍(139 万世帯→422万世帯)と顕著な増加をみせている.また,「夫婦と子から成る世帯」も2.99 倍(31 万世帯→92万世帯),「ひとり親と子から成る世帯」も2.57 倍(32 万世帯→83 万世帯)と大きく増加する.
    世帯主が65 歳以上の世帯について,2000 年から2025 年の家族類型別割合の変化をみると,「単独世帯」は27.2%から36.9%へと一貫して増加する一方,「その他の一般世帯」は18.3%から11.2 %へと一貫して低下する.「夫婦のみの世帯」,「夫婦と子から成る世帯」には,目立った変化はなく,それぞれ33 〜35%,11 〜14%という水準で推移する.世帯主が75 歳以上の世帯をみても,「単独世帯」が増加(35.3%→40.6%),「その他の一般世帯」が減少(18.9%→10.4%)という点では世帯主が65 歳以上の世帯と同じ傾向をみせているが,「夫婦のみの世帯」「夫婦と子から成る世帯」(それぞれ29.7%→32.1%,7.8%→8.9%)は割合が上昇し,「ひとり親と子から成る世帯」はさほど変わらない.
    家族類型別にみても,世帯主が65 歳以上の世帯に占める世帯主が75 歳以上の世帯の割合はそれぞれ増加の傾向にある.「夫婦と子から成る世帯」では2000 年の21.2 %から2025 年には44.6 %と2 倍以上になり,「夫婦のみの世帯」では30.4%から54.7%へ,「単独世帯」は45.9 %から62.1 %,「ひとり親と子の世帯」は43.2 %から59.3 %へとそれぞれ上昇し,世帯の高齢化がさらに進む.

  5. 欧 米諸国との比較(表3

    表 3 は,日本の現在及び将来の世帯の特性を,現在の欧米諸国と比較したものである.2000 年の日本の平均世帯規模2.67 人は,アメリカ・カナダと同程度で,北欧・西欧より高い.日本の平均世帯人員は2025 年には2.37 人まで低下すると予想される.これは2000 年時点の北欧・西欧諸国の平均的な水準で,フランスとほぼ等しい.世帯の縮小は続くものの,25 年経った時点でも現在の北欧やドイツの平均世帯人員ほどには小さくならないと考えられる.
    日本の単独世帯割合は2000 年に27.6 %,スペイン,アメリカ,カナダに近い水準である.これが2025 年には34.6 %まで上昇するが,やはり現在の北欧やドイツほどには高くならないものと予想される.

  6. 参 考推計との比較(表4

    参考推計は,男女別,5 歳階級別の配偶関係と世帯内地位(世帯主・非世帯主)の組合せ別分布が2000 年値で一定とした場合の,今後の世帯数の変化を表す.この場合,変動要因は人口規模と男女・年齢別構造のみとなる.
    表 4 によると,世帯形成行動が今後一切変化しなかった場合でも,2015 年前後まで世帯数は増加するが,本推計において予測されるほどには増加しない.世帯形成行動の変化は,それがなかった場合に比べて2025 年の世帯数を4 %増やすことになる.
    今 後の人口規模と男女・年齢別構造の変化は,「単独世帯」の数を2000 年の1,291 万世帯から2025 年の1,250 万世帯まで,減少させる方向に作用する.これは過去20 年ほど続いている出生数減少のため,単独世帯主が多い20 歳代の人口が減少するためである.従って,本推計における「単独世帯」の増加は,もっぱら晩婚化,未婚化,離婚の増加,親子の同居率低下といった結婚・世帯形成行動の変化によってもたらされることがわかる.
    核家族世帯については,本推計の結果と同じく,参考推計でも長期的には「夫婦のみ」および「ひとり親と子から成る世帯」が増加し,「夫婦と子から成る世帯」は減少する.しかし変化の速度は,本推計の方が速い.つまりこれらの3 種類の世帯の動向は,人口構造と行動変化の要因が同時に作用した結果生じると解釈できる.
    「その他の一般世帯」の動向は,本推計と参考推計で結果が逆である.つまり,世帯形成行動に変化がない場合,「その他の一般世帯」は増加するはずである.従ってこの類型の今後の減少は,親子同居率の変化をはじめとする世帯形成行動の変化によって生じるものと言える.

V 推計の方法
  1. 推 計手法の概要

    推 計の作業は,図5 に示した手順によって行われた.推計の主要な部分は,前回同様世帯推移率法を用いた.これは生存者を複数の状態に分割し,状態間の推移確率行列によって将来の状態別人口を推計する方法である.推計すべき状態は,配偶関係と世帯内地位の組合せである.
    国勢調査における世帯内地位と配偶関係の間には強い相関があり,親と同居する未婚子が世帯主になったり,夫と同居する妻が世帯主になる場合は稀である.こうした例外的な組合せを放置すると,推移確率行列が不必要に大きくなる上に,調査データから信頼し得る推移確率を求めることが出来ない.そこで国勢調査および第4 回世帯動態調査(後述)の世帯主に対し,推計モデルの対象となる世帯の準拠成員をマーカと呼び,以下の規則を設けてマーカの地位と性・配偶関係の組合せを限定した.

    (1) 夫婦のみの世帯および夫婦と子の世帯では夫をマーカとする.
    (2) ひとり親と子の世帯では親をマーカとする.
    (3) 夫と同居する妻がその他の世帯の世帯主の場合,夫をマーカとする.
    (4) 未婚者が親夫婦を含むその他の世帯の世帯主の場合,父親をマーカとする.

    この結果,一般世帯人員について次のように男子12 種類,女子11 種類の配偶関係と世帯内地位の組合せを定義した.有配偶男子の「ひとり親と子から成る世帯」のマーカはごく少ないので推計作業では「単独世帯」と併合し,推計後に分割した.2000 年基準人口は,国勢調査の男女別,5 歳階級別,家族類型別世帯主数および非世帯主数を男女別,5 歳階級別,家族類型別マーカ数および非マーカ数に変換して得た.

    男子 女子
    S:hS 未 婚・単独世帯のマーカ S:hS 未 婚・単独世帯のマーカ
    S:hO 〃 その他の世帯のマーカ*S:hO 〃 その他の世帯のマーカ*
    S:nh 〃 非マーカ S:nh 〃 非マーカ
    M:hS 有配偶・単独世帯のマーカ**M:hS 有配偶・単独世帯のマーカ
    M:hC 〃 夫婦のみの世帯のマーカM:hP 〃 ひとり親と子の世帯のマーカ
    M:hN 〃 夫婦と子の世帯のマーカM:sp 〃 配偶者
    M:hO 〃 その他の世帯のマーカM:nh 〃 その他の非マーカ
    M:nh 〃 非マーカ
    W:hS 死離別・単独世帯のマーカ W:hS 死離別・単独世帯のマーカ
    W:hP 〃 ひとり親と子の世帯のマーカW:hP 〃 ひとり親と子の世帯のマーカ
    W:hO 〃 その他の世帯のマーカW:hO 〃 その他の世帯のマーカ
    W:nh 〃 非マーカ W:nh 〃 非マーカ
    * 親夫婦を含まない世帯
    ** ひとり親と子の世帯のマーカを含む

    施設世帯人員についてはデータの制約上推移確率が得られないため,後述のように趨勢延長によって男女別,5 歳階級別,配偶関係別施設割合を推計した.これを男女別,5 歳階級別,配偶関係別将来推計人口に適用して一般世帯人員を求めた.一方で上に示した配偶関係と世帯内地位の組合せ間の推移確率行列によって世帯内地位分布を求め,そこから男女別,5 歳階級別に,配偶関係と世帯内地位(マーカ・非マーカ)別人口を得た.この5 年ごとの推計結果に基づき,線型補間によって各年の結果を求めた.さらに2000 年基準人口作成時の世帯主・非世帯主からマーカ・非マーカへの変換を逆に適用し,男女別,5 歳階級別,配偶関係別,世帯内地位(世帯主・非世帯主)別人口を得た.

  2. 将 来の配偶関係間推移確率の設定

    将来の配偶関係間推移確率行列は,前回の推移確率行列のうち死亡確率と初婚確率を修正することによって得た.死亡確率は配偶関係間の死亡率格差を保存しつつ,将来人口推計で用いられた将来生命表の死亡確率に合致するよう調整した.女子の初婚確率も同じく将来推計人口(中位推計)で用いられた値に合致するよう調整し,調整済みの女子の推移確率行列によって生じる初婚数・再婚数に合致するよう男子の推移確率行列を調整した.

  3. 施 設世帯人員割合の将来推計

    第 4 回世帯動態調査3 では一般世帯人員の世帯内地位間推移パターンが得られるが,一般世帯と施設世帯との間での推移に関するデータは得られない.そこで将来の施設世帯人員割合は,趨勢延長によって推計した.すなわち1995 〜2000 年の国勢調査における男女別,5 歳階級別,配偶関係別施設世帯人員割合の変化率をスムージングし,それが直線的に減少して2025 年に変化が停止すると仮定した.

  4. 推 移確率行列の作成

    一般世帯の世帯内地位間の推移確率は,配偶関係間の各種推移確率と第4 回世帯動態調査において観察された推移パターンから得た.この調査では,調査時点である1999 年7 月1 日と,1994 年7 月1 日の世帯内地位が得られる.この調査データにおいて,妻が世帯主になっている場合は夫と組替え,未婚子が世帯主になっている場合は父親を優先して親と組替えるなど,上で定義された配偶関係と世帯内地位の組合わせ併せて世帯主・非世帯主からマーカ・非マーカへの変換を行った.
    調整後の世帯内地位について男女別,5 歳階級別に推移度数行列を作成した.うちごく稀な推移は省略し,行列を単純化した.この行列から,配偶関係間推移ごとに条件付き推移確率を求めた.
    こうして得られた条件付き推移確率を配偶関係間推移確率に乗じて,男女・5 歳階級別の配偶関係と世帯内地位の組合せ間の推移確率行列を作成した.これを1995 年国勢調査から得た世帯内地位ベクトルに乗じて結果を2000 年国勢調査から得た世帯内地位ベクトルと比較し,推移確率を調整した.
    第 4 回世帯動態調査では,男子では親世帯からの離家の遅れが続いているが,女子ではこの傾向に歯止めがかかっていることが観察された.そこで男子は1980 年代出生コーホートまで,女子は1970 年代出生コーホートまで,若いコーホートほど「未婚・非マーカ」から「未婚・単独世帯マーカ」への推移確率が低下するものと仮定し,比例ハザードモデルによって将来の推移確率を推定した.

  5. 基 準人口

    推計の出発点となる基準人口,すなわち男女別,5 歳階級別,配偶関係別と世帯内地位(マーカ・非マーカ)の組合せ別一般世帯人員と,男女別,5 歳階級別,配偶関係別施設世帯人員は,2000 年国勢調査から得た.一般世帯人員は,先述の規則によって世帯主・非世帯主からマーカ・非マーカに変換して得た.

  6. 推 計結果

    推計ではまず将来の男女別,5 歳階級別,配偶関係別人口を確定した.これは2000 年国勢調査における男女別,5 歳階級別,配偶関係別分布から出発し,用意した配偶関係間推移確率行列を逐次的に適用して将来の配偶関係別分布を求め,それを男女別,5 歳階級別将来推計人口(中位推計)に乗じて得た.これに用意した男女別,5 歳階級別,配偶関係別施設割合の将来推計値を適用し,一般世帯人員と施設世帯人員に分割した.
    上 述の2000 年基準人口から出発し,配偶関係と世帯内地位の組合せ間の推移確率行列を逐次的に適用して将来の配偶関係と世帯内地位の組合せ別分布を求めた.それを上で求めた男女別,5 歳階級別,配偶関係別一般世帯人員に乗じて,将来(各5 年)の配偶関係と世帯内地位の組合せ(マーカ・非マーカ)別人口を求めた.前述のように線型補間によって各年毎の結果を求め,さらにマーカ・非マーカから世帯主・非世帯主に変換し,最終的に男女別,5 歳階級別,配偶関係別,家族類型別世帯主数を得た.この世帯主数が,すなわち将来の世帯数である.


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